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発達障害のグレーゾーンの特性と受けられる就労支援を解説

発達障害のグレーゾーンの方は、仕事が上手くいかず困っている方が少なくありません。

グレーゾーンの方は、発達障害と診断されず企業の障害者枠を利用できないため、発達障害の認定を受けている方よりも就職で苦労する傾向があります。

この記事では、発達障害のグレーゾーンの特性や特性を活かせる仕事、仕事で抱えやすい悩み、受けられる就労継続支援などについてご紹介します。就労継続支援を受けまでの流れも紹介するので、ご自身の特性を活かして働きやすい仕事を見つける際の参考にしてみてください。

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グレーゾーンの特性

発達障害のグレーゾーンとは、発達障害の特性・症状・傾向があるものの診断基準を満たしていない状態の人です。正式な医学用語ではないため、明確な基準があるわけではありません。

発達障害の診断基準には、アメリカ精神医学会が作成した精神疾患の診断・統計マニュアルである「DSM-5」や、世界保健機関(WHO)が作成している「ICD」が使用されています。診断基準をすべて満たしている場合は、発達障害と診断されますが、ひとつでも満たしていない場合は、発達障害とは診断されずグレーゾーンとなります。

グレーゾーンの人は、発達障害の診断基準を満たしていないことは共通していますが、多くの診断基準を満たし症状・傾向が強い方から、それほど多くの診断基準を満たさず症状・傾向が軽い方までいます。

グレーソーンの特性を活かせるのはこんな仕事

発達障害の種類によって特性を活かせる仕事は異なります。ここでは発達障害の種類別に向いている仕事を紹介するので、仕事選びの際の参考にしてみてください。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性を活かせる仕事

自閉症スペクトラム障害の方は、興味があることへ強い関心や高い集中力を持てるという特性があります。一方、人と上手にコミュニケーションをとるのが苦手な方が多いです。
そのため、あまり他の人とコミュニケーションをとる必要がなく、個人で進められる仕事が向いていると考えられます。具体的には、エンジニアやプログラマー、ライター、動画編集、Webデザイナー、研究者などです。

注意欠如・多動症(ADHD)の特性を活かせる仕事

注意欠如・多動症の方は、長時間ひとつのことを続けることが難しい、ケアレスミスが多いといった特性があります。そのため、1度に多くの処置や対応が求められる仕事や、正確性が求められる仕事には向いていないでしょう。仕事内容が変化し、独自のアイデアが求められる仕事が向いています。具体的には、営業職、デザイナー、イラストレーター、クリエイター、経営者などです。

また、ケアレスミスをカバーするために複数の確認工程の仕組みが確立されている職場なら、事務職に就ける可能性もあります。

学習障害(LD)の特性を活かせる仕事

学習障害の方は、読み書きや計算が苦手という特性があります。そのため、読み書きや計算の能力をあまり求められていない仕事が向いていると考えられます。具体的には、カメラマン、料理人、役者、アーティスト、アニメーターなどです。

読み書きや計算が必要になる仕事でも、周囲の理解があればツールの利用などで補うことができるので、比較的多くの職種から選べる可能性があります。

就労継続支援でぶつかりやすい課題、仕事で抱えやすい悩み

発達障害のグレーゾーンの方は、興味のある部分に意識が集中しやすい、相手の気持ちを想像できないといった特性があります。そのため、仕事の全体像を把握しにくい、あいまいな表現や抽象的な表現を理解できない、人間関係のトラブルを起こしやすいといった課題にぶつかる可能性があるでしょう。

どの課題も発達障害のグレーゾーンの特性が原因であるため、避けることは難しいです。その結果、休職や退職につながってしまうことが少なくありません。

以下でぶつかりやすい課題や仕事で抱えやすい悩みの具体例をあげ、その対策方法について詳しく解説します。

ケアレスミスを繰り返す

注意力欠如・多動症の傾向があると、ケアレスミスを繰り返す傾向があります。書類の記入漏れや忘れ物などを繰り返し、信頼を失ってしまいます。目に入る場所に確認事項などを書いた紙を置いておけば、意識しなくても目に入ることが増え、その度に確認するようにすれば、ケアレスミスを減らすことにつながります。

指示内容を理解できない

発達障害のグレーゾーンの中には、多くの人が意識せずに理解している話の背景や前後の文脈を理解できない、少し話が長くなると注意が散漫になり話を集中して聞いていられなくなる傾向がある方がいます。そのため、あいまいな表現や抽象的な表現を含む指示、長い指示などが理解できず、指示内容と違った仕事をしやすいです。

自分だけで解決することは難しいので、指示内容を紙に書いてもらう、できるだけ簡潔で具体的に伝えてもらうなど周りの協力が必要となります。

関心のある仕事だけしかやらない

グレーゾーンには、こだわりが強く興味のあることに集中してしまう傾向がある方がいます。そのため、興味のある仕事には熱心に取り組みますが、興味がない仕事はほとんどしないといったことが起こる可能性があるのです。

自分の特性を理解して、それを職場に正直に伝えることで、興味がある仕事に集中できるようにしてもらうことをおすすめします。

人間関係のトラブルを起こす

グレーゾーンは、相手の気持ちを想像するのが難しく、コミュニケーションをとるのが苦手な傾向があります。そのため、相手を怒らせてしまう不用意な発言をしてしまう可能性があるのです。

自宅で、身内などを相手に仕事関係の会話を予測し予行演習を繰り返すことで、不用意な発言をせずに決まったやり取りができるように練習しましょう。もし、不用意な発言をしていることがわからなくても、相手の機嫌を損ねてしまったときには、すぐに謝罪するように心掛けてください。

また、発達障害のグレーゾーンであるため、不用意な発言をしてしまう可能性があることをあらかじめ相手に伝えておくことも、トラブル回避につながるでしょう。

グレーゾーンの受けられる就労継続支援、また受けられないケースは?

仕事上ぶつかりやすい課題について対策したとしても、自分でできることには限界があります。そのため、グレーゾーンの方は、就労継続支援を受けることを検討してみてもよいでしょう。

就労継続支援とは?

病気や発達障害などにより、一般企業で働くことが難しい方を対象に、働くために必要となる知識や能力の訓練や仕事の提供、仕事に就いたのちの相談などのサポートを受けられる福祉サービスのことです。

企業は就労継続支援事業所に業務を依頼し、就労継続支援を受ける方は、事業所で働きながら仕事に必要な訓練を受けます。

就労継続支援A型とB型の違い

就労継続支援は、A型とB型に分かれています。

A型とB型の対象者は以下の通りです。

A

  • 移行支援事業を利用したが、企業の雇用に結びつかなかった者
  • 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
  • 就労経験のある者で、現に雇用関係の状態にない者

B

  • 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
  • 50歳に達している者又は障害基礎年金Ⅰ級受給者
  • ①及び②に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている者

引用:厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス

A型もB型も一般企業への就職が難しい者に仕事を提供されるという点では共通していますが、雇用契約の有無や賃金などに違いがあります。A型は雇用契約を結ぶため最低賃金が保証されています。一方、B型は雇用契約を結ばず自分のペースで働けますが、工賃は最低賃金よりも安いです。

就労移行支援とは?

就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す方が、必要となる知識や能力を身につけるために訓練を受ける支援サービスです。就労継続支援との違いを以下の表にまとめました。

 就労移行支援就労継続支援A型就労継続支援B型
対象者一般企業への就職を希望する者一般企業への就職が難しいが、ある程度安定して働ける者一般企業への就職が難しく、安定して働くことも難しい者
目的一般企業へ就職するための知識や能力を身につける仕事の提供と必要な知識や能力を身につけるためのサポート
雇用契約なしありなし
賃金なし最低賃金保証工賃が支払われる(最低賃金より安い)
利用期間原則2年間なしなし

グレーゾーンの方が就労継続支援を受けられない場合

就労継続支援を受けるためには、障害者手帳もしくは医師に意見書を書いてもらい受給者証を取得する必要があります。

グレーゾーンの方は、発達障害の診断基準を満たしていないため障害者手帳を取得できませんが、うつ病などを併発し障害者手帳を取得できた場合は、その障害者手帳で受給者証の申請が可能です。

就労継続支援A型では、面接で不採用となった場合や事業所の定員オーバーとなった場合、就労継続支援は受けられません。

就労継続支援B型は面接がありませんが、事業所の定員オーバーや他の人に危害を加える危険性が疑われる場合などは、就労継続支援を受けられないことがあります。

グレーゾーンの就労継続支援利用の流れ

就労継続支援を利用する際の流れは以下の通りです。

事業所を探す事業所に問い合わせる事業所を見学する面接を受ける役所に行き受給者証の申請をする就労継続支援事業所と契約し(A型)利用開始  

事業所を探す

住んでいる地域に就労継続支援事業所があるかを、役所の障害福祉窓口やインターネットを利用して調べてみましょう。

事業所に問い合わせる

グレーゾーンの利用が可能かを事業所に問い合わせてください。また、必要書類や面接日なども確認しておきましょう。

事業所を見学する

事業所のスタッフの配慮や事業所の雰囲気、仕事内容などを直接確認するために、見学に行くことが大切です。

面接を受ける

就労継続支援A型を希望する方は、面接による選考をクリアする必要があります。受け答えに不安がある方は、事前に面接の練習をしておくことをおすすめします。

役所に行き受給者証の申請をする

就労継続支援を受けるには、受給者証を取得する必要があります。役所に行き、受給者証の申請をして発行してもらってください。

就労継続支援事業所と契約し(A型)利用開始

受給者証を取得したら、A型を利用する方は雇用契約を結び(B型は不要)、利用を始めます。

まとめ

発達障害は、診断基準を満たさなければグレーゾーンとなります。グレーゾーンの方は、障害者認定されないため、障害者枠として採用されず就職が難しい傾向があります。そのため、特性に向いている仕事に就いて、直面する課題を解決するために対策を立てることが、継続して働くためには大切です。また、グレーゾーンに理解ある職場を選ぶことも重要となります。もし、一般企業で働くことが難しい方は、グレーゾーンの方でも利用できる就労継続支援の利用を検討してみてください。就労継続支援を利用すれば、自分に合った働きやすい仕事を見つけやすいはずです。

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