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障害者就労支援の新資格「障害者就労支援士」とは?学科試験内容や受験の条件、目的を解説

厚生労働省は、障害者就労支援人材の育成や確保を目的に、新資格「障害者就労支援士(仮称)」の創設を決定しました。今回の記事では、障害者就労支援士の概要やいつから資格が運用されるか、検定の学科試験内容や受験の条件、資格を取得することでできることや目的について解説します。

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障害者就労支援士の基本情報

厚生労働省が創設へ向けて動いている新資格、障害者就労支援士について解説します。

障害者就労支援士とは

障害者就労支援士とは、障害者就労支援人材の育成と確保を目的に、厚生労働省によって新設が決定している新資格です。障害者就労支援士は仮称ですが、この記事では「障害者就労支援士」として統一して解説します。

障害者就労支援士資格を取得することで、「障害者雇用および就労支援に関する総合的な知識、技能をもつ者」として認定されます。

障害者就労支援士が新設されることになった背景

現状では雇用と福祉制度の谷間で働く機会が得られない、または必要な支援などが得られないため継続して働くことができない多くの障害者が発生しています。課題の解消のために求められているのが、雇用と福祉施策の一体的な展開を推進できる体制の迅速な整備です。

そこで、令和2年9月29日に「2040年を展望した社会保障、働き方改革本部 障害者雇用・福祉連携強化プロジェクトチーム」が以下の中間取りまとめを行いました。

・障害者本人の希望や能力に応じたシームレスな就労支援を提供するために、従来の枠組みに囚われない雇用と福祉の両面で利活用できる新たな制度・仕組みの構築

・障害者が安心・安定して働き続けるために雇用と福祉両者が一丸となった就労支援に携わる専門人材の育成・確保

中間取りまとめの内容を踏まえ、以下の具体的な対応が決定されました。

・令和7年度中に、就労者就業支援に携わる機関に障害者雇用・福祉の理念や倫理、雇用・福祉間の移行、企業の理解、就労支援全体の体系・プロセスの理解、就職後の雇用管理・定着支援に関する知識とスキルの付与する研修(基礎的研修)を創設

・令和7年度中に、基礎的研修の受講後に、ジョブコーチ養成研修、障害者就業・生活支援センター就業支援、担当者研修などの専門研修を受講する流れに階層化およびジョブコーチや地域の就労支援人材へのスーパーバイズ、地域における就労支援のコーディネートなどを行う上級ジョブコーチを創設

・障害者就労支援人材の資格創設を検討=障害者就労支援士の創設

障害者就労支援士の資格取得の目的

障害者就労支援士は、障害者の安定的かつ希望や適性に応じた就業の実現を図る、雇用と福祉両者が一丸となった専門人材の育成と確保を目的に新設されました。

ほかにも、障害者就労支援士の資格を取得することで、以下のような目的の達成やメリットを得ることもできます。

・障害者就労支援人材の認知度やプレゼンスの向上

・スキルアップできる

・キャリアプランニングができる

・障害者就労支援人材の円滑な勤務評価、処遇改善

障害者就労支援士検定試験の受験条件や学科試験

就労者就労支援士の資格を取得するには、検定試験に合格する必要があります。障害者就労支援士の検定試験の受験条件や方法、学科試験などについて解説します。

障害者就労支援士検定の受験レベル

障害者就労支援士検定は、まず厚生労働省がモデル試験基準に準拠した中級レベルの検定の創設が決定しています。中級レベルの資格を安定的に運用できるようになったら、将来的に初級レベル、上級レベルの検定が追加されることが検討されています。

障害者就労支援士検定の運営団体

障害者就労支援士検定は、まず業界団体が運営する民間資格としての創設・運用が予定sれています。その後民間資格として安定的に運営できるようになれば、将来的に国家資格への移行が検討されています。

障害者就労支援士検定の受験条件

障害者就労支援士検定の受験条件・資格は以下が検討されています。

・障害者就労支援の実務経験3年以上

・職業適応援助者研修を修了し、障害者就労支援に従事している者

障害者就労支援に従事している者とは、以下の機関で障害者就労支援に関する業務を行っている人材を指します。

・就労継続支援事業所(A型・B型)

・就労移行支援事業所

・就労定着支援事業所

・就労選択支援事業所

・計画相談支援事業所

・障害者を雇用する企業、行政機関

・地域若者サポートステーション

・発達障害者支援センター

・医療機関・教育機関

・その他関係機関など

障害者就労支援士検定の学科試験の科目・範囲

障害者就労支援士検定では、障害者就労支援の職種における中級の技能者が通常有すべき技能・知識の程度を基準とした、学科試験が課されます。

学科試験の科目・範囲は以下がモデル科目として検討されています。

1.就労支援の理念・目的、障害者雇用の現状と障害者雇用・福祉施策

・就労支援の理念と目的

・就労支援の基本的な考え方

・障害者雇用の現状

・障害者雇用施策の概要

・障害者福祉施策の体系や概要

・雇用施策と福祉施策との連携

2.就労支援のプロセス(インテーク~職業準備性の向上のための支援)

・支援に当たっての基本的姿勢

・就労支援全体のプロセス

・就労に関する方向付けのための支援

3.就労支援のプロセス(求職活動支援~定着支援)

・就職のための支援

・職場定着(職場復帰を含む)のための支援

・加齢等に伴う諸問題の対応

4.就労支援機関の役割と連携

・就労支援機関の役割と業務内容

・就労支援ネットワーク

5.障害特性と職業的課題

・身体障害

・難病

・知的障害

・発達障害

・精神障害

・高次脳機能障害

6.労働関係法規の基礎知識

・労働契約上の注意点

・安全衛生

・法律上企業等に加入が義務づけられている労働保険・社会保険

・問題が生じた場合の相談先

7.企業に対する支援の基礎

・企業で働くとは

・企業を支援することの重要性

・障害者雇用を巡る企業を取り巻く状況(近年の動向)

・企業支援のプロセス及び支援方法

・企業支援の留意点

8.ケースマネジメントと職場定着のための生活支援・家族支援

・就労支援におけるケースマネジメントの重要性

・生活支援・家族支援の進め方

・生活支援、家族支援における企業と支援機関の役割分担と連携

9.アセスメントの基礎

・アセスメントの目的と心構え

・アセスメントの実施方法と留意事項

・アセスメント結果の分析ポイントと活用の仕方

・相談を行う上での技法

10.企業における障害者雇用の実際

・障害者雇用の考え方や雇用管理の実際

・企業が求める人材

・支援者に求めること

障害者就労支援士資格によって描けるキャリアパス

障害者就労支援士資格は取得することで、障害者就労関連職に就く際に必須となる「基礎的研修(雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識、スキルを付与する研修)」の受講が免除となることが検討されています。そのため、資格を取得することでより多様な障害者就労関連人材としてのキャリアパスが描けるようになります。

障害者就労支援士資格を取得することで、実現可能なキャリアパスを順に解説します。

障害者就労支援のプロやリーダー職

障害者就労支援士資格を取得することで、障害者就労支援の総合的な技能・知識を習得している人材という証明になります。以下のような機関や施設で障害者の就労支援業務に携わる場合、資格を取得しておくことでスキルアップやキャリアアップにつながる可能性が高いです。

・就労継続支援事業所(A型・B型)

・就労移行支援事業所

・就労定着支援事業所

・就労選択支援事業所

・計画相談支援事業所

・地域若者サポートステーション

・発達障害者支援センター

・医療機関・教育機関 など

就労移行支援事業所の就労支援員や就労定着支援事業所の就労定着支援員

就労移行支援事業所の就労支援員または就労定着支援事業所の就労定着支援員を目指す場合、基礎的研修の受講が必須です。障害者就労支援士資格を取得すると基礎的研修の受講が免除となります。

就労移行支援事業所の就労支援員や就労定着支援事業所の就労定着支援員としてキャリアを積むためには、就業支援スキル向上研修や就業支援担当者研修、主任障害者就業支援担当者研修の各研修を要所で受講することになります。最初の基礎的研修の受講を免除されることで、就労移行支援事業所の就労支援員や就労定着支援事業所の就労定着支援員への道も開かれやすくなったと言えるでしょう。

ジョブコーチ

ジョブコーチとは、障害者の職場適応の課題が発生している職場へ出向き、障害者の職場適応を図るために障害特性を踏まえた専門的な支援を行う専門職です。職場適応援助者とも呼ばれています。

ジョブコーチは地域障害者職業センターや社会福祉法人、障害者を雇用する企業などに配置されます。ジョブコーチとなるための職場適応援助者養成研修を受講するためには、基礎的研修の受講が必須ですが、障害者就労支援士の資格を取得することで免除となります。

ほかの障害者就労支援職からジョブコーチへのキャリアチェンジを考えているときにも、障害者就労支援士の資格が活用できるでしょう。

まとめ

厚生労働省から新しく設立が決定した障害者就労支援の新資格「障害者就労支援士」について解説しました。いずれも検討中で今後の展望および資格名が変更となる可能性がありますが、障害者就労支援の専門職人材の育成や確保のために、新資格が誕生する方向に進んでいます。資格を取得することで専門的な技術やスキルが得られたり、障害者就労支援職のキャリアパスが形成できたりといったメリットも大きいです。今後の情報に注視しつつ、新資格の取得をぜひ検討してみましょう。


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