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就労継続支援B型事業所の給料といえる工賃について詳細解説

就労継続支援B型事業所の給料といえる工賃について詳細解説

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給料と工賃の違い

給料と工賃ですがどちらも手間をかけて作業に従事してはじめて得られる対価=お金であることに間違いはありませんが、呼び方に違いがあるのは両者に決定的な違いがあるからといっていいです、それはどういうことか本章で見ていくことにします。

給料とは

給料とは正社員やアルバイトなど事業所(会社やお店)を運営する法人と雇用契約を結び入社した人がもらえるお金で、給与明細には基本給と書かれていたりします
つまり給料とは基本給のことです。

補足説明ですが給与とは基本給のほか資格手当・通勤手当(交通費)・時間外手当(残業代)など各種手当も足した総支給額を指しています。

なお、総支給額から社会保険料や所得税、住民税が差し引き控除された額が手取り額として手渡されたり、通帳に振り込まれたりし私たちの生活の糧となっています。
もちろん何もせずにもらえるわけではなく、雇用契約書に記載された「所定の日数、時間、場所」を守り働くことで、あらかじめ決められた日に支払われます。

労働基準法では、毎月1回以上支払うことを原則として定めていますので、事業所はそのルールに従わなければなりません。

そのため事業所は15日締め・月末締め などと区切り、その翌月の5日・15日・25日などに支払日を設定し毎月支払います。
ルールは事業所によって異なりますが、月末締め25日に支払う事業所が多いです。

また正社員なら月額が固定されていたりしますが、パート・アルバイトなら時給制で働いた分しか給料をいただくことができません。
その事業所が給料について、どのようなルールを設けているかはハローワークなどに出されている求人票で確認できます。

工賃とは

工賃とは雇用契約を結ばずにものづくりなどで生産・加工に従事した人がもらえるお金のことを本来指しています。

多くのものづくりの事業所では、工員を正社員やパート・アルバイトとして募集し、雇用契約を結び給料をもらっています。
しかしながら、就労継続支援B型事業所の利用者(就労継続支援A型事業所の特例利用者も含む)は、雇用契約を締結せずに生産・加工に従事しているのが現状です。

そのため、工賃は主に就労継続支援B型事業所の利用者が作業を行った対価としてもらえるお金を指す言葉として定着しつつあるといっても過言ではないのです。

就労継続支援B型事業所(※以下B型事業所と記載)を運営している方は心得ていると思いますが、B型事業所に通うご本人またはご子女を通わせる親御さんはもちろん、
これから運営を始める方、開設をお考えの方は工賃についても知っておく必要があります。

次章以降 “工賃の概要・平均額・高い工賃をもらう方法について” も解説していきます。

就労継続支援B型事業所が支払う「工賃」のルール

もちろんB型事業所を運営する法人が利用者に「工賃」を支払うのですが、工賃を支払う際の作法・ルールというべき基本的な考え方、支払い方法がありますので、ここでご紹介しておきます。

工賃の支払いについての基本的な考え方

工賃は100%、利用者の作業で対外的に得られた売り上げの中から賄い、国保連から支給される自立支援給付費(報酬)から出してはいけません。

よってB型事業所側は、利用者に支払える売り上げが発生する作業を用意し、売上を立てられるように利用者に作業を教えるもしくはサポートしていく必要があります。

また利用する人その家族はB型事業所に通所するということは、1日作業を行ったとしても、労働者とみなされず、労働基準法の適用もなく、最低賃金の保障もないということは心得ておく必要があるのです。

工賃支払い方法は変動型と固定型の2つ

・原資分配型

・テーブル型

があります。前者は変動型ともいわれ、前月の支払原資(売上から経費を差し引いたもの)を分配して支払います。後者は固定型で、あらかじめ定められた時給などを翌月に支払うものです。

平成29年の東京都の資料によると、約65%のB型事業所が、後者のテーブル型を採用しているということです。

原資分配型の場合、売上によって、いただける額が変動します。翌月にもらえる額が把握できないうえ、売上が低迷すると収入も(同じ作業を行ったのに)激減します。

東京都は支払う単価について、最低額をあらかじめ決めておくことこそが運用のポイントである旨、述べていますが、約68%の事業所は決めておらず、最低保証がなされている状況ではないことがわかっています。

テーブル型の工賃は同じ作業、生産に要した時間、加工した個数などで固定され、売上で変動することがまずないため、あらかじめどのくらいの額が翌月もらえそうかわかる仕組みとなっており、わかりやすくて報われやすい支払い体系と言えます。

先に解説したように時給で支払われる事業所が多いことがわかっていますが(全体の約44%)、月額、日額、時給のほか、月額・時給などこれらを組み合わせて決めているものや、作業手当をプラスした支払い方を実施している事業所もあるようです。

しかし作業に慣れ、上手になったときに「単価アップをしてもらいたい」と思っても、単価交渉に応じない、単価を見直す改定時期すら設定していない事業所も少なからずあるようです。

そんなB型事業所の工賃の実態は、どのようになっているのでしょうか。次章で見ていきます。

就労継続支援B型事業所の工賃の平均額

厚生労働省発出の『令和3年度工賃(賃金)の実績について』のデータを基に開設しますと、

施設数 14393箇所

平均工賃月額 16,507円

平均工賃時間額 233円

となっています。安いと感じている方も少なくないと思いますが、

平成18年度12,222円
平成19年度12,600円
平成20年度12,587円
平成21年度12,695円
平成22年度13,079円
平成23年度13,586円
平成24年度14,190円
平成25年度14,437円
平成26年度14,838円
平成27年度15,033円
平成28年度15,295円
平成29年度15,594円
平成30年度16,118円
令和元年度16,369円
令和2年度15,776円
令和3年度16,507円

コロナ禍の影響ではと推測できる令和2年度に大きく落ち込みましたが、ほぼ毎年、平均工賃は微増していっているのです。

B型事業所にご子女を通わせている親御さんから見ると「うちの子はフルタイムで作業を頑張っているのだろう、多めにいただいているようだ」「なぜこんなに平均工賃は少ないんだろう?」と思った方もいるのではないでしょうか。

事実としてお伝えしておきたいのですが、再び前出の東京都の資料に戻りますと「約7割の事業所で、2割程度、就労(作業)がむずかしい方がいると考えられる」という旨の記載があります。

B型事業所が受け入れている利用者の方には、作業が困難(得意ではないもしくはうまくできないことを指していると思われる)な方が一定数いることを理解されておかれたほうがいいのかもしれません。

今まさにB型事業所に通っていて「平均工賃より少ないぞ」「ほかの事業所に移ったほうがいいのでは?」と思われた方もいるのではないでしょうか。

また、これまで一般企業の障害者雇用枠や就労継続支援A型事業所で働いていた方が、事情が変わりB型事業所にシフトチェンジすることになった際は「できるだけ高い工賃をもらいたい」と考えるでしょう。

そこで最終章では「高い工賃をいただくため」のヒントをお伝えします。

就労継続支援B型事業所で高い工賃をもらう方法

売上規模、生産活動、通所日数、従事する時間がカギとなります。順に見ていきましょう。

売上規模が大きな生産活動に従事する

引き続き東京都の資料の記載を参照していきますが、売上規模順に主な生産活動は何かを尋ねた問いに対し、各事業所が回答した結果の上位は、以下のとおりでした。

請負系自主製品
・清掃 ・印刷物の封入れ・封かん ・袋詰め ・軽作業・雑貨類 ・洋菓子 ・パン

清掃と印刷物の封入れ・封かんは、障害者優先調達推進法(国や県・市などが「率先的に」障害者就労施設などから物品等の調達を推進すると定めた法律)によって、就労継続支援B型事業所に作業が割り振られており、売上が確保できているようです。

現状、上表に掲げた作業なら安定的に仕事があり、多くの工賃をいただける可能性が高いです。

平均工賃が高い生産活動にチャレンジしてみる

3万円以上という高い平均工賃をマークしている生産活動の上位について資料で確認したところ、売上規模とほぼ同じ顔ぶれでしたが、

・弁当・総菜

・リサイクル

が浮上しました。

弁当・総菜は下ごしらえや調理、計量、盛り付けといった作業となりますが、リサイクルは、不用品(機械など)を分解・解体する、ペットボトルのキャップやラベルを外す、リサイクルできるものとリサイクルできないものに仕分ける作業を行います。

ただし、これらの作業も決して単価が高いわけではなく、数日、短時間だけ働いたからと言って平均工賃がたくさんいただけるような“割がよすぎる”作業ではないということはお伝えしておきたいです。

体調がよければ週5日フルタイムで働く

高い工賃をもらうには、やはり通所する日数を増やし、体調が許すかぎり多くの時間、作業に従事したほうがよいということです。

ただし、受注にムラがなく、担当すべき作業が豊富にあり、安定して仕事がある就労継続支援B型事業所を選ばないといけません。

これらは一般企業でパート・アルバイトとして入り時給、日給で働く人たち、就労継続支援A型事業所で就労している人たちにも同じことが言えます。

しかし、日本財団の資料によると、就労継続支援B型の利用者の週平均就労時間は22時間となっていますし、頑張りすぎて体調を崩すと回復するまで通所ができなくなりその間、工賃を得られなくなりますのでムリはしないようにしていただきたいです。

まとめ

雇用契約を結ばないため、就労継続支援B型の事業所でもらえる給料は工賃という扱いとなりますが、多くの利用者が作業内容、作業量、日数、時間に応じて工賃を得ていることがおわかりいただけたと思います。

これから就労継続支援B型事業所に通う、ご子女を通わせる場合は、工賃が変動型か固定型か、作業の売上規模が大きいかどうか、仕事が安定的にあるかどうかが通所先を選定する際の検証すべきポイントと言えます。

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